24 August
2009

7月後半から8月前半のコンサート行脚日誌

とりあえず、元気にはしている。前の更新で書いた「地獄絵図」の翌日には、あいもかわらずコンサートに行くくらいには。

また、日誌書くのをさぼっているので、まとめて更新。


[7月29日:大阪フィルハーモニー管弦楽団 第430回定期演奏会]

指揮は、音楽監督の大植英次さん。パガニーニでは、独奏者の余裕のテクニックが冴えに冴える。技巧の必死さが前に出ないので、純粋に「あー、結構美しいメロディーをパガニーニは書いてたんだ」と気づけたりするのが楽しい。そして、技巧もさることながら、楽器が発する澄み切った明るい音色がものすごく魅力的。後で調べてみたら、ストラディヴァリウスだったらしい。なんとなく、グァルネリなのかなと思ったんだが。
アンコールでは、バッハの無伴奏が演奏された。若さが出て、ちょっと拙速で深みにかける感は否めなかったが、よくまわる左手と美しい音色は特筆もの。今後の活躍が楽しみな存在。
「オルガン付き」は、クラシック音楽を聴き始めた頃にCDで何度も聴いていたお気に入りの曲だが、ライブで聴くのは初めてだ。大植さんは、この曲の持つ独特の雰囲気、すなわち、ドイツの交響曲の重厚な響きとも違うし、かといって同国同時代のドビュッシーが描いたような浮遊感のある響きとも違う、不思議な味わいを存分に引き出していた。深遠な美しさに満ちた第1楽章後半は聴いていて心に沁みたし、下手に盛り上げると唐突過ぎて違和感をかんじさせる2楽章以降も、中身のある盛り上がりで、なるほど、と思わせる説得力があった。地味だけど、サン=サーンスって作曲家には得難い作品が多いよなあ、とつくづく感じ入った。

[8月5日:大阪新音フロイデ合唱団「荘厳ミサ」]

フロイデ合唱団が、ベートーヴェンの大曲「荘厳ミサ」を取り上げるというので聴きにいった。オーケストラは、下野竜也さん指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団。
下野さんはオーケストラから厚みのあるしっかりとした響きを引き出すのを得意とする指揮者。しかも、そのバリエーションが多彩で、曲にぴったりとあったサウンドを選び出す技術が抜きん出ている。今回も、温もりがあり、重みもあるが柔らかさもある、魅力的なサウンドを作り出すことで、巨大な音楽を散漫とさせず、しっかりとまとめていたのが印象的。
合唱団は、やや男女の人数比がアンバランスで女声が勝ち気味だったため、場面によっては、音楽の立体感が乏しくなるところがなきにしもあらずだったが、些事かな。団員全員の積極性が産み出すスケールの大きさは長丁場でも最後まで衰えることなく、聴いていてとても気持ちがよかった。
「荘厳ミサ」を、あんなに短く感じたのは初めてだと思う。オーケストラと合唱団が上手くかみ合って大きな音楽が出来上がっていくのを目の当たりにしてわくわくした。

[8月15日:関西フィルハーモニー管弦楽団 Meet the Classic vol.19]
関西フィルの美点が生きた、とても素敵な演奏会だった。指揮は、主席指揮者の藤岡幸夫さん。
冒頭のアンダーソンは、客席の拍手が終わらないうちに、藤岡さんが指揮棒を勢い良く振り下ろして開始。びっくりするくらい、ものすごく速いテンポだったのだが、関西フィルらしい、太くて元気なサウンドから立ち上がる生命感が、アンダーソンの屈託のないメロディを活き活きと弾ませて、聴く者すべてを笑顔に変えてしまう魅惑の音楽になっている。こりゃ、楽しい音楽界になるぞ、という予感。
そして、なんといっても今回の目玉は、交響詩「ジャングル大帝」の公開初演(レコード向けに録音されたことは2度あるのだが、コンサートで取り上げられるのは初らしい)。もちろん元ネタは説明不要の手塚治虫「ジャングル大帝」。音楽は、ジャングル大帝のストーリーの朗読と並行して進められる。すなわち、プロコフィエフの「ピーターと狼」のフォーマットを踏襲している。
今回演奏されたのは、秋田書店版の漫画本で言えば、序章と第1章、レオの父親であるパンジャがハンターに撃たれる場面から、動物園に売るため船で連れて行かれそうになったレオが海に飛び込んで逃げ出し、アフリカに泳いで戻るまで。(ちなみに、朗読は関西テレビのアナウンサー、杉本なつみさん。まさかのなっつみー登場にちょっとびっくり)
音楽の元になっているのは、アニメ版のために作られたもので、作曲者の冨田勲さん自身がストーリーにあわせて再構成している。
雄大なオープニング音楽にはじまる壮大な音絵巻。堂々たるパンジャのテーマ、優しさに満ちたエライザ(レオの母)のテーマ、鮮やかな場面描写、ユーモラスに表現される様々な登場人物、なにもかもに心が躍らされる。なんと楽しい音楽だ。そして、なんとバイタリティのある素晴らしい演奏。
演奏会後半は、「ロメオとジュリエット」。藤岡さん曰く、「前半とうってかわって、いかにも『クラシック音楽』という作品を」とのことだが、そうは言っても、ガチガチの構成に基づいた交響作品というわけではなく、印象的なメロディに溢れたバレエ音楽。前半に繰り広げられた世界から、無理なくはいっていける。
ここでも、関西フィルは、力強く健康的な音で、プロコフィエフの卓越した管弦楽をカラフルに、マッシヴに、そして薫り高く歌い上げた。ああ、いい演奏だなあ、と心の底から感じた。
アンコールは、ビゼーの「アルルの女」から「アダージェット」。とろけるような弦楽の響きに酔って、楽しい一夜はおしまい。大満足。
#次はぜひ「交響詩『ウルトラセブン』」を、って言っても、無理ですよねぇ…。なんだかコンサートの趣旨もかわっちゃうしなあ。


Posted by horita at 01:21 | Comments (0) | Trackbacks (0)
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