Core Dump orz
えらい目にあってしまった。
原因は、朝食に食べたパンだったと推定される。昨日の朝に買ってきた惣菜系のパンを、室内の風の通る場所に置いていたもので、食べたのは、ちょっと遅めの午前10時過ぎ。別に変な味はしなかった。
で、12時半頃だ。本を読んでいたんだが、なんだかどんどん気分が悪くなってきた。胃のムカつきが尋常じゃない。おかしいなぁ、と胸をさすりながらリビングに行くと、我が母も顔色が悪い。
「昼ごはんを食べられるような状態じゃなさそうなんだよ」
というと、彼女も同じだという。なんだろう、なにか変なもの食べたのかな、と二人で首をひねった。
地獄の開始は、13時。ついにムカつきが沸点に達してしまった私は、トイレに駆け込んでそのまま"Core Dump"(理系隠語)。ちょっと経験したことないくらいの勢い。逆流のダイアルがめいっぱい回されたかんじ。しばし呼吸困難。
ゼーゼーと息を立てて、トイレの床に「orz」状態でじっとしていると、なんと2階のトイレからもサルトルしている(文系的表現)音が聞こえてきた。なんとご母堂様も全く同時に催された模様。
胃から食道にかけての異常な顫動は、数分おきにやってきた。もう出るものなんてないだろう、と思っているのに、体は一生懸命なにかを出そう出そうとする。「乾いた雑巾を絞る」という表現があるが、まさに自分がその乾いた雑巾になったような状態だ。ぎゅーぎゅーと絞られる苦しさよ。トイレに入ったまま15分以上経過した頃だろうか、意識が朦朧としてきた。
ふと気がつくと、orzな姿勢の自分の周りが、びちゃびちゃの水溜りになっている。トイレの排水でも漏れたのかなと、ぼんやりする頭で思ったのだが、さにあらず。私の体中から、滝のように汗が流れているのだ。「水溜り」も「滝」も、大げさな比喩なんかではない。床は水浸し、着ている服はすでにずぶ濡れ。額や腕や足からは大粒の水滴が絶えずボタボタと床に落ちていた。特に暑かったわけではない。今になって考えれば、あれも、体内の毒素を排出しようという人体の反応なのだろう。
よく覚えていないのだが、気持ちが悪くなったので、私は服を脱いでトイレの外に放り出してしまったようだ。2階のトイレからは、相変わらず同病者の音。
やがて、ムカつきは胃にとどまらず、体全体の悪寒へと発展。すでにトイレに入って30分は経ったと思われる(昼ドラの録画を開始する音がかすかに聴こえたので)。
頭は、まともな状態ではない。すでに、意味のない叫び声やうめき声を上げていないと正気を保っていられない状態。不思議だったのは、脳内では妙に御陽気な音楽が流れつづけていたこと。そして映像としては、さっきまで読んでいた本に出てきた単語が何の脈略もなく断片的に次々と浮かび、その合間に、まるでスライドショーのように、見たこともない風景の写真が挿入されてきた(奇抜な建築物の写真だった)。一瞬、本気で、「え、僕、こんなんで死んじゃうの?」と感じたさ。
何度目かのCore Dumpのとき、ほとんど頭はまともに動いてなかったと思うが、自分の顔を思いっきり何発かひっぱたいたのを覚えている。全然痛くなかった。
意識は朦朧、orzのままなのでやがて手足も痺れ、まともに動けなくなるし、周囲の水溜りも大きくなる一方。「あー、だめだー」、と全身の力が抜けて体が崩れそうになったが、「トイレの床で倒れるのはご勘弁」と最後の理性が作動し(なんだ、その最後の一線は)、トイレのドアから身をよじるようにして身体を廊下に出し、そのまま廊下のカーペットに倒れこんだ。その後しばらく、先に書いた脳のアッパラパー状態が続いていたのまではかすかに覚えているが、すぐにブラック・アウト。
気を失ったというわけではなく、疲れ果ててそのまま寝てしまったんだと思う。
気がついたのは、2時間くらい経ってから。(1時間くらい経った頃に、這う這うの態で2階から降りてきた母が「大丈夫か」と言ったのに対し、「なんとか」かなにか、そういう返事はしたみたい)
大量の汗の気化熱によって体温が急激に下がり、寒くて仕方がなくなって目が覚めたようだ。これはまずいと思ってなんとか身を起こし、投げ捨ててあった服を着て、そのまま自室へと這っていった。たまたま敷いたままにしていた布団へと転がり込み、再び、ブラック・アウト。ちなみに、物音から察するに、ご母堂様におかれましては、なお台所でサルトルのご様子。
結局夜の7時ごろまで眠り続けた。目が覚めたときには、なんとか体に力が入って、普通に喋れる状態にはなっていた。母も同様。訊いてみたら、彼女の場合も、発汗が尋常ではなかったとのこと。まったく同じ症状だねぇ。ということは、朝食以外に原因は考えられないねぇ…。
しかし、同じ朝食を食べたはずの父上様におかれましては、至極普通にピンピンなさっておられるとのこと(私たちが地獄絵図を描いているとき、ちょうど外出していた)。休みの時期なので、各自が起きたタイミングで朝食を摂ったのだが、その朝食を摂る時間が遅かった順に症状がひどくなっているような気がする(私が一番遅く、父がかなり早かった)。そんな、数時間の差でこれほどの差が出るものか、とも思うが。(まあ、父に関しては、外出先で地獄へ堕ちる事態にならなくて、本当によかったと思うが)
いやぁ、食中毒って、あんなに苦しいんだな。幸いなことに、なんとか1日でそれなりの状態に復帰できそうだけど、しばらくは、なんだか物を口に入れるのが怖いよ…。
(P.S. 翌日には、私も母も、ほぼ日常生活ができるくらいまで戻りました。よかったよかった。)




